2020年11月3日火曜日

慢性腎不全におけるDapagliflozinの有効性とは

 

N Engl J Med 2020;383:1436-46.

Dapagliflozin(@フォシーガ)はCKD患者のアウトカムを改善するか?

この論文のポイント
・CKD患者における10mg/dayのDapagliflozinの投与は次の複合アウトカムを改善する(HR 0.61,95%CI 0.51-0.72)(eGFRの50%低下、末期腎不全(透析、eGFR 15ml/min/1.73m2以下、腎移植)への進行、腎臓もしくは心血管関連死亡)。
・CKDの基礎疾患に糖尿病の有無は関係ない。基本的に研究参加患者はACEiもしくはARBを先行して内服している。1型DM、ANCA、SLE、免疫抑制剤使用中の腎炎患者は除外されている。
・試験はアストラゼネカのスポンサードを受けているが、2.4年の経過で有意差があり中止となっている。

研究デザイン
・Double blind placebo controlled study
・試験対象者は
  eGFR 25-75ml/min/1.73m2 かつ 尿中Alb 200-5000mg/gCre
  4週間以上ACEiもしくはARBを内服しており安定している状態
  SLE、ANCA、PCKD、1型DM、免疫抑制剤の使用者は除外
・Dapagliflozin 10mg/day内服群とプラセボ群にrandomに振り分け
・Primary outcomeは複合エンドポイントで以下のいずれかの発症
  eGFRの50%低下
  末期腎不全(透析、eGFR 15ml/min/1.73m2以下、腎移植)への進行
  腎臓もしくは心血管関連死亡
・ITT解析されている

患者背景
平均年齢61歳、男性が70%くらい。アジア人40%くらい。
収縮期血圧は135±17mmHg、eGFRは30-45ml/min/1.73m2が一番多く40%程度
尿Alb 1000mg/gCre程度
心不全があった人が10%程度

結果




Composite outcome HR 0.61(95%CI 0.51-72)、NNT 19

感想
製薬会社のスポンサーを受けているとはいえ、死亡を含む腎不全患者におけるHard outcomeとおもわれるoutcomeの複合エンドポイントの大幅な減少がみられ、NNT 19!!、糖尿病関係なし!!というのは非常に大きな結果なのではないだろうか。

心不全、腎不全、2型糖尿病などの領域においてSGLT2阻害薬はゲームチェンジャーとなるのかもしれない。

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