2020年11月21日土曜日

Semantic Qualifierを使いこなせてますか?

このチャプターのLearning point
・Semantic Qualifierを知ろう
・患者さんの訴えや病歴を、鑑別のフレームに落とし込める「言葉」
にしよう。
・鑑別診断の「フレーム」を意識して、Semantic Qualifierをうまく使えるようになろう。

George Bordageさんが提唱した概念で
"抽象的で、対義的な言葉を使って、患者情報をまとめるて整理する"こと。
患者さんの訴えや情報などを普遍的な(抽象化して)、そしてなるべく対のあるような言葉に置き換えること。
鑑別診断や疾患の想起の際のキーワードとなるものを当てはめていく作業になる。
臨床推論の質を高めるとされていて、診断の正確さが有意差はないものの増加する傾向があるとされる。

例えば言葉で言うと以下のようなものがある(対になってるのがポイント)
高齢    vs     若年
急性    vs             慢性
持続性   vs             間欠性                 
単発性   vs             多発性
繰り返す  vs             初めての
安静時   vs             労作時
e.t.c…



たとえば、痛風を考えている患者さんのプレゼンをしてみると、

Semantic Qualifierを意識していないと
「前にも同じ症状があった、78歳女性が昨日から左足の親指の付け根が腫れて痛いことを主訴に受診した。」


なんかぼやけてますよね。Semantic Qualifierを意識してやると
「これまで同様の間欠的な発作を繰り返す高齢女性が、昨日からの急性発症の左第一趾MCP関節の単関節炎で受診した」


「間欠的⇔持続的」「繰り返す⇔単回の」「急性発症⇔緩徐発症」「単関節炎⇔多関節炎」
こういったwordを意識します。

このSemantic Qualifierを意識したプレゼンテーションをされると、"痛風"以外の鑑別をあげることがむつかしいですね。そして「"急性"の"単関節炎"」の鑑別というフレームになるので鑑別も考えやすくなりますね。逆に言うと、どういったワードで鑑別のフレームを作るのかという覚え方も大事かもしれません。

ぜひぜひ使ってみてくださいねー。
鑑別診断のフレーム法は森川先生の「総合内科 ただいま診断中!」もとっても勉強になりますので読んだことない人はみてみるとよいですよー。

参考文献
日本内科学会雑誌 106 12 2562-2567など
Medical Education.2002, vol.36,p 760-766
Acad Med 1998, 73(Suppl19):S109-S111
横浜医学, 69, 37-45(2018)
N Engl J Med 2006;355:2217-25.
Principles and Practice of Case-based Clinical Reasoning Education, Innovation and Change in Professional Education 15, Chapter 3

記事記録
2020.11.21 update

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