2020年11月14日土曜日

低Na血症の補正はボーラス?持続?

 

この論文のポイント

 3%食塩水のボーラス投与による有症候性の低Na血症の補正は
 3%食塩水の持続投与による補正に比べて

  ・過剰補正のリスクが少ない傾向にあった(有意差なし)
  ・1時間後の血清Naの補正値の上昇幅が5mEq/Lに近かった
  ・患者背景としてSIADH20%程度しか含まれていない
  ・採血のタイミングが治療介入後1hr6hr12hr18hr24hrと間隔は広めで
   過剰補正のリスクは持続投与群の方が高かったと思われる。


論文について

Openラベルの前向き多施設のRCT

Inclusion criteria:
18歳以上で、血糖値補正の血清Na 125mmol/L以下で以下のも
Moderate symptoms             :嘔気、頭痛、眠気、脱力、倦怠感
Sever symptoms                  :嘔吐、昏迷、痙攣、昏睡

 

Exclusion criteria:
心因性多飲、授乳中もしくは妊婦、無尿、ショック、肝障害(正常の3倍以上)、非代償性肝硬変、HbA1c 9%以上の糖尿病、心臓手術の既往、OMISVTACS、頭部外傷・頭蓋内圧亢進が3カ月以内にあるもの。

原因としては
 サイアザイド利尿薬が20-30%
 hypovolemic hyponatremia 10-15%
 細胞外液量増加が10%前後
 副腎不全 12-17%
 SIADH 25%程度

Moderate symptoms 65%程度、Sever symptoms 20%程度。
治療開始は救急外来もしくは通常外来がほぼ100%

患者のNaは平均118mmol/L程度、尿浸透圧 440mOm/kg程度。

治療介入:
治療開始1,6,12,18,24,30,36,42,48hで採血と症状の評価を行い、以下の表のように介入。

Rapid intermittent bolus (RIB group)

Moderate symptoms             :3% saline 2mL/kg20分かけて投与を1
Sever symptoms                  :3% saline 2mL/kg20分かけて投与を2  

上記ポイントのところでNa補正値と症状の程度によりBolusを追加
過剰補正だった場合は下げる治療を行う
24時間までで症状がとれて5mmol/L以下または30-38時間までで症状が取れて10mmol/L以下の補正の人をどうしたかは明確な記載なし


Slow continuous infusion (SCI group)


Moderate symptoms             :3% saline 0.5mL/kg/hrで投与
Sever symptoms                   :3% saline 1mL/kg/hrで投与
上記の測定ポイントのところでNa補正値と症状により、infusion rateを足りなければup、目標範囲内であればstop、過剰補正であれば下げる治療を行う。

 

Primary Outcome


過剰な補正は両群で15-22(17-24%程度), ARR -6.9(-18.8-4.9)程度で、ややRIB groupの方が少ない傾向ではあったが、差は見られなかった。グラフは青い線がRIB group

 

以下はsecondary outcomeから


RIB groupの方が1時間後の補正の幅が大きく5mEq/Lに近く上がっているのが特徴で、
6時間くらいのところで変わらず、その後はSCI groupの方が高い値をキープしている。
最初の1時間の投与量が大幅に違う。


この論文を読んでの感想
自分自身は持続投与で教えられて育ってきたのでどうしても持続投与しがちだけども

最初の一時間を持ち上げるのはやっぱりボーラス投与の方がいい。
過剰補正のリスクも高くなさそう。
もう少し細かく採血していけば過剰補正のリスクは持続投与でも下げられそう。


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