N Engl J Med. Nov 12; 383(20):1907-1919
この論文のポイント
・30日後のEQ-5Dスコア(QOLスコア)は両群で同等であった。
・抗菌薬グループは合併症が多(8.1% くvs 3.6% RR 2.28; 95%CI 1.30-3.98)、29%が90日以内に最終的に手術された。
・合併症は抗菌薬グループで多かった(2.28;95%CI 1.3-3.98)が、重篤な合併症は抗菌薬グループで4%、手術グループで3%(RR 1.29; 95%CI 0.67-2.50)であった。
論文を読む前にUptodateの推奨を確認すると
穿孔していない症例で、耐術能に問題がない場合は手術を推奨
耐術能に問題がある場合は、点滴抗菌薬で開始して改善すれば保存、しなければ手術
試験デザイン
救急病院において、虫垂炎を抗菌薬加療群と手術群の非盲検、非劣勢のRCT
Inclusion criteria
・画像検査で虫垂炎と確定診断された18歳以上
・回盲部炎は合併症のリスクが高いことが知られており、Prespecified subgroup(事前に知らされたサブグループ)に分類された。
Exclusion criteria
・敗血症性ショック
・汎発性腹膜炎
・虫垂炎再発者
・重度の炎症がCT上あるもの(術者が広範な手術が必要と判断したもの)
・膿瘍形成/free air
・悪性腫瘍が疑われる
Primary outcome
・EQ5DスコアというQOLスコアの非劣勢
Secondary outcome
・患者から聴取した疼痛、発熱などの症状の改善
・NSQIPに定められた合併症の発症
治療
抗菌薬加療群
・最初の24時間は経静脈的に抗菌薬投与、以降は内服として計10日間
※手術は経過中に以下を認めた場合に推奨された。
・汎発性腹膜炎が疑われる
・敗血症性ショックになる
・治療開始後48時間以降に症状や所見の悪化がある
・必ずしも上記を満たさなくても手術になる症例も認めた
手術療法群
・腹腔鏡下もしくは開腹での手術が行われた
結果
Primary outcome ITT解析されている
Secondary outcome
膿瘍ドレナージを要した症例が抗菌薬群で多い(21.36;95%CI 2.86-159)
論文を読んだ感想
虫垂炎に関しては、局所炎症がひどくない場合や穿孔などがなければ抗菌薬での保存的加療が選択でき、QOL的には手術群と大差ない結果だった。
抗菌薬治療群の方も最終的に手術に29%がなっているので、3人に2人は手術を回避できるということだろう。ただ、合併症などは抗菌薬治療群の方が多い傾向にあるのも悩ましいところ。
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