2019年7月10日水曜日

シベンゾリンによる重症低血糖

当院で経験した症例
80代女性
遷延性の重症低血糖および低血糖性脳症で当院を受診
20g/hr以上のブドウ糖負荷が必要な低血糖状態であった。数日で当負荷は中止でき、意識も回復した。

採血にてシベンゾリン 931ng/ml、インスリン 25.8μg/ml、コルチゾール・甲状腺正常
各種培養陰性、MRI陰性 



シベンゾリンによる低血糖について
シベンゾリンはⅠa群の抗不整脈薬でATP-sensitive Potassium(KATP) channel blockerであり、それにより抗不整脈作用を発揮する。しかしKATP受容体を阻害することにより膵臓のβ細胞からのインスリンの分泌が促進される。

シベンゾリンの低血糖は高齢者に多く、何らかの理由で腎不全を起こしたことにより、シベンゾリンの血中濃度が上昇することによりインスリン分泌が増加して低血糖を起こす。またCYP450で代謝されるため、そこでの相互作用でも濃度が上昇することが知られている。

これまで5例の報告では
60歳以上で発症することが多く、平均年齢は72歳であった。
初発時の血糖は37mg/dl4例がCre 2mg/dl以上であった。
シベンゾリンの血中濃度が示されていた671ng/ml, 1551ng/mlであった。

Intern Med 56:1527-1529,2017

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